「花鳥茶屋 せせらぎ」志川節子著
不忍池のほとりに珍しい鳥や植物を集めて見せる、行楽客に人気の花鳥茶屋〈せせらぎ〉。16歳の勝次はここで鳥籠職人の修業をしている。
ある日、松川屋彦左衛門が妾のお絹を連れてやってきた。お絹はヤマガラを飼いたいというが、あいにくヤマガラ籠が売り切れで、勝次が注文の籠を作ることに。勝次が籠の材料の見本と図面をもって訪れたとき、お絹の家には扇屋の若旦那の卯之さんという先客があった。お絹は、彦左衛門は六の日にしか来ないからだいじょうぶだと言うが、後日、勝次は卯之が女と出合い茶屋から出てくるのを見た。
不忍池で繰り広げられる茶くみ娘や眼鏡職人などの青春を描く時代小説6編。(祥伝社 1700円+税)