2014年7月に安倍政権が集団的自衛権「行使容認」の閣議決定をしたとき、著者は「ヤバい」と思った。法案は自衛隊のリアルと違うところにあるからだ。2004年にイラク復興支援活動に行ったとき、陸上自衛隊は「占領軍アメリカ」の「仲間」と見なされないように、砂色の米兵の戦闘服とは違う緑色の迷彩服を着用し、目立つように日の丸を縫い付けた。だが、自衛隊は13回も攻撃を受け、そのうち4回は宿営地に着弾。ロケット弾が鉄製の荷物用コンテナを貫通したこともあった。自衛隊は実際には〈戦闘状態〉にあったのだ。
防衛大出身の著者が、知られざる自衛隊の〈リアル〉を証言する。(河出書房新社 1400円+税)