洒落たパッケージの“キット”本
実はこの絵柄、段ボールを切り抜いた「透かし彫り」。しかも昔ながらの型抜き(トムソン加工)では対応できない繊細さ。秘密は70ミクロンのレーザー光。データ通り、0・5ミリ間隔の複雑なラインをレーザー光が高速で「焼き」切る。抜き型不要(=型代ゼロ)、1枚からの対応が可能。単なる「紙加工技術」を超え、もはや「ペーパーアート」の領域だ。
よく見ると花、葉、鳥、キノコ、ミジンコ、ミトコンドリア(?)等、動植物のフォルムが隙間なく埋め込まれている。昨今話題の「生物多様性」にも目配せを忘れない。ミクロの世界を顕微鏡でのぞいてみよう、というメッセージが伝わってくる。子供も大人も一緒に盛り上がれる、科学入門の“一冊”だ。(リリス 1480円+税)
▽みやぎ・あずさ 工作舎アートディレクター。1964年、宮城県生まれ。東北大学文学部仏文科卒。1990年代から単行本、企業パンフレット、ポスター、CDジャケットなど幅広く手掛ける。