「スニーカーヘッズ」年商60億円の輸入商がいる聖地・東京も登場
どんなものにもマニアがいるのが現代。とはいえスニーカー1足が30万円とは!?
先週末から公開中の「スニーカーヘッズ」はこのスニーカーマニアの世界を追った米ドキュメンタリーだ。マニア化の発端はバスケのマイケル・ジョーダンモデルと銘打ってナイキが売り出した「エアジョーダン」の成功。以来、記念モデル類のたびにブームが拡大。長時間立ちっぱなしのヒップホップDJらが凝ったスニーカーを愛用したことでおしゃれアイテムに変貌したのだ。
カメラはマニアたちの生態のほか、強奪事件まで起こるブームの実態や供給量をしぼってブームを維持する企業側の戦略にも踏み込んでいく。「スニーカーはもうサブカルじゃない」とは関係者の言葉だが、いやむしろ金融バブルと同じ手法で資本主義にわざと寄生するのが現代のサブカルなのだ。
なお、世界的に見るとNYやロンドンとならんで東京がスニーカーヘッズの聖地。早くからブームに目を付けたファンキーな日本人が登場し、ブロークン英語でまくし立てる。典型的なオタク君かと思ったら驚くなかれ年商60億円のスニーカー輸入商だそうだ。おまけにネットのインタビューを読むと愛読書がハイデッガーの「存在と時間」(岩波書店 1260円+税)。無論ハッタリでなく人生哲学の書として熟読したという。まさに野に遺賢あり。〈生井英考〉