寛政元年創業の老舗や怪しい店など全国155軒の古本屋ガイド
小山力也著「古本屋ツアー・イン・ジャパン それから」(原書房 2400円+税)は、古本屋好きの間では広く知られているブログの書籍化第2弾。全国2000軒以上の古本屋を巡った著者が、えりすぐりの155軒を紹介している。
石川県・金沢駅のほど近くにある「近八書房」の屋根の上に飾られた木製看板には、“創業寛政元年”の文字がある。江戸幕府でいえば、11代将軍家斉の時代から続く古本屋なのだ。店内には文学評論から歴史、日本文学、伝統芸能などさまざまなジャンルの古本が揃う。そして足元の棚には、昭和45年から発行されていた生活美術雑誌「銀花」や、昭和31年の発行以来国文学分野における最も権威ある論文誌とされていた「國文學」なども並ぶ。風情ある店構えを残す古都金沢の古本屋で、時間を忘れて古本探しをしてみるのもいい。
“世界一の古本の町”と呼ばれる神保町を有する東京だが、中にはもはや古本屋かどうかも分からない怪しい店もある。
たとえば永福町の「ドエル書房」。確かに古本屋だが、“営業中”の看板のそばには小料理メニューやビールののぼり、赤ちょうちんなども飾られ、古本屋から大きく逸脱していることを店頭から如実に証明している。店内には用途不明の雑貨があふれ、小料理屋用のL字カウンターまでしつらえられたカオス状態。しかし著者はここで、日本のミイラ仏研究の足跡を記した貴重な書である「日本のミイラ仏」(臨川書店)を700円で手に入れており、なかなか侮れない古本屋とつづっている。