著名人の具体例で解き明かすきょうだい不仲の原因
きょうだいとは、誰よりも近く、親しく、同じ境遇を分かち合って育つもの。しかし時には、競争相手となり、比較対象となり、無自覚のコンプレックスが中高年になってから顕在化することもある。
岡田尊司著「きょうだいコンプレックス」(幻冬舎 840円+税)では、著名人のきょうだいの例を交えながら、精神科医である著者がきょうだいコンプレックスの問題について斬り込んでいく。
きょうだい間の問題はさまざまな状況で生まれるが、もっとも大きな要因をつくるのが親という存在だ。
先ごろ、某大手家具店のお家騒動がマスコミを賑わせたが、そこにはきょうだいコンプレックスも見え隠れした。父親側には長男が付いた一方、長女には残りの他のきょうだいが付いた。これは、父の考えを従順に受け入れることで可愛がられてきた長男に対する反発が、他のきょうだいの間で共有されていたためと考えられる。
実は、自分が主役でなければ気が済まない自己愛が強い親ほど、従順な子供を可愛がる。意思を持たず思い通りになる子供の存在は、自己肯定につながるためだ。そして自己愛が強い親にとってもっとも許せない存在が、自分の意思をしっかりと持つ子供。自己愛が強い親の子育ては理不尽であることが多く、そこに生まれたきょうだいは例外なく仲が悪くなると本書。