「カレル・チャペック 小さな国の大きな作家」飯島周著
チェコの国民的作家カレル・チャペック(1890~1938年)の生涯とその作品世界を紹介する文学読本。
さまざまなジャンルの作品を多数残した氏だが、その基本はジャーナリストだった。1917年に「国民新聞」編集部に就職してから、以後、生涯を一記者として過ごした。多様な趣味を持った氏は「興味の源泉として、人間ほど汲めども尽きせぬものはない」とその作品の根底には人間への深いまなざしがあった。人間に対する興味は、人間性への尊重と擁護にまで発展し、1930年代にはヨーロッパを覆うファシズムや全体主義に抵抗して、過酷な状況へと追い込まれてしまう。波乱の生涯を追いながら、その素顔の魅力を伝える。(平凡社 820円+税)