「鬼降る森」髙山文彦著

公開日: 更新日:

山高く谷深い故郷・高千穂風土記

 大宅賞作家が、故郷の宮崎県高千穂を旅しながら思索を重ねた名著。

 かつて山頭火が「分け入っても分け入っても青い山」と詠んだほど、高千穂の山は高く、谷は深い。天孫降臨神話と鬼伝説が同居するこの地で、毎年11月半ばから翌年2月まで、毎週どこかの村で夜神楽が行われる。人々が神楽と共に楽しみにしているのが夜這いだった。かつて日向を旅した坂口安吾が高千穂について記した一文には、往復36里もの山道を歩き隣村の女のもとに通う男の話が出てくるという。

 中学生の自分に夜這いの手順を語って聞かせた祖母や、猪や鹿、山鳩や野兎などを届けてくれた猟師のトクさんなど、そこに生きる人々を描きながら混とんと矛盾の里・高千穂を描いた風土記。(小学館 620円+税)


【連載】文庫あらかると

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャースの“朗希タンパリング疑惑”で大迷惑!米29球団&日本プロ球団こぞって怒り心頭の納得理由

  2. 2

    柔道ウルフ・アロン「誤審」「不可解判定」「AI審判」「やらせ疑惑」をとことん語る

  3. 3

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  4. 4

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  5. 5

    吉永小百合(10)「15歳年上のバツイチと、よく一緒になりましたね」会員限定記事

  1. 6

    「建築界のノーベル賞」受賞の権威が大阪万博をバッサリ!“350億円リング”「犯罪だと思う」

  2. 7

    渡部建はキスなし即ベッド“超自己中SEX” 元カノ女優が激白

  3. 8

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  4. 9

    柔道ウルフ・アロンが“弟分”斉藤立を語る「仏リネール選手はタツルに持たれることを恐れていた」

  5. 10

    石川佳純の争奪戦からフジテレビが脱落情報!五輪キャスター起用でアドバンテージあるはずが…