「角川映画1976-1986[増補版]」中川右介著
日本映画界に新風を巻き起こした「角川映画」の最初の10年を描いたノンフィクション。
1975年、角川春樹氏が創業者の父親の後を継いで角川書店の社長に就任。氏は、角川文庫で「横溝正史フェア」を大々的に展開する中、ブームをさらに拡大させるために映画化をもくろむ。しかし、松竹に持ち込んだ「八つ墓村」の企画が頓挫。自ら会社を設立して映画製作に乗り出す。
その第1弾に選ばれた「犬神家の一族」は製作費2億2000万円に対し、総宣伝費が3億円という日本映画の常識を破るもので、小説と映画、主題歌をヒットさせる本格的メディアミックスの始まりだった。次々と日本映画の新機軸を打ち立てた角川映画の歴史を概観する。(KADOKAWA 880円+税)