「EU騒乱」広岡裕児著
ギリシャの財政問題に続き、シリアからの難民問題でEUは揺れている。だが、ISの拡大以前からヨーロッパにはスーダン、アフガニスタンなどから、常に難民が流入していた。労働力不足のヨーロッパはそれを受け入れていたのだが、社会の最下層を形成する彼らは、やがてテロリストとなって故郷に輸出されることになる。
EU統合で国境がなくなったはずの西欧諸国で現在、難民や移民の排斥運動が起きているが、〈心の中の国境〉が復活したときが危険だと著者は指摘する。欧米で生まれた民主主義に出口はあるのか。
フランス在住のジャーナリストによる現地からの緊急リポート。(新潮社 1400円+税)