「昭和の東京 映画は名画座」青木圭一郎著
青春時代に足しげく通った名画座の思い出と、各館の歴史をつづったシネマエッセー。
昭和39年、中学3年生のときに見たリバイバル公開の「戦争と平和」で映画に開眼。やがて、池袋の日勝地下(座席数277)という名画座の存在を知る。当時の名画座は、2本立てが100円で見られ、昼食代を映画に回して通ったという。同じく池袋の文芸坐(530席)では昭和47年から週末のオールナイト上映が始まり、毎回4本から6本を上映。400円均一の座席は毎回、ほぼ埋まり、タイトルにひいきの出演者がクレジットされると、常連客から拍手や掛け声がかかったという。
著者が通った都内約70館を網羅し、往時の空気を伝える。
(ワイズ出版 2200円+税)