「パルプ」チャールズ・ブコウスキー著、柴田元幸訳
家賃滞納で立ち退きを迫られている私立探偵のニックの事務所を飛び切りの美女が訪ねてくる。「死の貴婦人(レディ・デス)」と名乗る女は、ハリウッドの本屋に出入りする人物が、本物のフランス人作家・セリーヌか確かめてほしいというのだ。しかし、ニックの記憶ではセリーヌは32年前に死んだはずだ。本屋でその人物に出会ったニックだが、本物のセリーヌかどうか分からない。
そんななか、新たに「赤い雀」を探して欲しいという依頼が舞い込む。おまけに競馬で負け続けているニックはノミ屋のツケがたまり、取り立て屋からも追われるはめに。
どこに物語が進んでいくのか見当もつかないカルト作家による怪作ハードボイルド。(筑摩書房 840円+税)