「嵐を呼ぶ女」和久田正明著
金吾は、ある夜、帰宅した定町廻り同心の父・寛十郎から母とは別の女に恋をしてしまったと打ち明けられる。3日後、寛十郎が何者かに殺された。無外流の使い手だった寛十郎だが、抜刀した形跡はなく心臓をひと突きされていた。寛十郎に仕えていた岡っ引きの辰五郎は、父を失い腑抜けになってしまった金吾に見切りをつけ、十手を返上して引退したと見せかけ、仲間と密かに下手人を捜す。事情を知った辰五郎の孫・小夏も、反対を押し切り下手人捜しに加わる。
一方、母の一言で我に返った金吾も見習同心の仕事のかたわら、わずかな手がかりをもとに父が恋したという女を捜す。(「からすねこ」)
女十手持ちの小夏を主人公にした連作時代小説。(光文社 640円+税)