テレビとジャーナリズム ますます露骨化する報道への圧力
「デジタル・ジャーナリズムは稼げるか」ジェフ・ジャービス著 夏目大訳
ニューヨークの大学で「起業ジャーナリズム」を教える著者。デジタル時代に存続可能な報道とは何かを「エコシステム」の観点で論じた。テレビジャーナリズムにも1章を割いて言及。
著者によれば「テレビニュース、特にローカルのテレビニュースは最悪」。繰り返しが多く、針小棒大で天気予報に必要以上の時間と手間をかける。ニュースのコメントでは聞く方も聞かれる方も深刻そうにうなずいているだけで、背後の映像も無意味なものが大半。著者は誰もがスマホやデジカメを持ち歩いている現代では「ニュース現場の近くにいる誰でも」が報道に参加するのがメディアの未来だという。
現に「ウォール街占拠デモ」ではデモに参加した人物が20時間以上の生中継をウェブで行って話題になった。警察の暴力防止効果もありそうで、意外に現実味にも富んだアイデアか。(東洋経済新報社 2200円+税)