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「ガンカンジャ」フツー著

 8年間がんと闘病した父の死を機に、会社を辞めてマンガ家となった著者。韓国のソウル出身だ。何をするべきか模索し、マンガにたどり着いたという。ほんわりと温かい絵柄のシンプルなマンガだが、問いかけてくる言葉は重い。本国の韓国では数々の賞を受賞している。

 主人公は26歳の男性。ステージ4の胃がんで脊椎転移もある。家族や恋人との距離感、がん性疼痛や死の恐怖と向き合う心情を刻々と、かつ淡々と描く。

 一方で、時折挟まれるのがファンタジーの世界。森の中で不思議な生き物と出合う主人公。ほのぼのとした世界だが、主題は生と死。がん患者が悩み、考え、自身に問う最大のテーマに斬り込んでいく。

 がん患者やその家族だけでなく、医療従事者も学ぶべき点が多い作品だ。(アスキー・メディアワークス 1000円+税)


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