日露“ゴマすり外交”の昨今 改めて振り返るロシアの今昔
「ゴルバチョフに会いに行く」亀山郁夫著
ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」の新訳で知られたロシア文学者の著者は、ソ連時代末期の84年にレーニンの故郷で兵士に拘束され、KGB風の男に尋問されて監視下に置かれたという。それだけに「グラスノスチ」(情報公開)を掲げて登場したゴルバチョフへの熱狂は人一倍。「今にして思うと、かなり病的な」「ゴルバチョフとの一体化」だったという。しかし6年でゴルバチョフ体制はエリツィンの背信で倒れ、いまでは汚名を着せられている。果たして真相は。
いま機会を得て改めて本人に直接問いかけるグラスノスチ、ペレストロイカ(構造改革)、そしてチェルノブイリ事故。文学者らしい内省をふくむ訪問記だ。(集英社 1800円+税)