「世界のへんな肉」白石あづさ氏

公開日: 更新日:

 世界100カ国以上を約3年かけて巡り、各国で出合った動物とその味についてつづった異色の旅エッセーである。

「旅の楽しみといえば何といっても食事。国が替われば食材も調理方法も変わり、市場で珍しい果物などを見て驚くこともしばしばでした。けれど一番衝撃だったのは、その国で食べられている肉。日本では絶対に食材と見なさない動物が、フツーに食べ物として認識されているんですよ。それでかわいそうと思いつつも、もしかしておいしいのかも? と好奇心にかきたてられたんです」

 エジプトでは恐る恐る口にしたラクダのケバブ(串焼き)の鹿肉のような味わいに驚き、ケニアではインパラが牛肉にそっくりのうまさで悶絶する。そして、サバンナではダチョウに追いかけられマサイ族に助けられたり、真夜中のアマゾンでワニを生け捕りに出かけるなどレアな体験の中で著者は動物と触れ合い、また食を通して現地の人々と交流を深めていく。

「思い出深いのはイランですね。旅人である私を泊めてくれた親切なイラン・ファミリーと町のサンドイッチ屋を訪れたとき、“サンドビーチェマーグス”を勧められたんです。聞けば羊の脳みそだという。うろたえていると店の人がサービスで大盛りにしてくれ、おまけに人だかりが出来てしまった。大注目の中、引き下がれなかったですね(笑い)」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動