「ロシア革命史入門」広瀬隆著
独自の視点と歴史観をもとに原発問題や陰謀の世界史などに挑む著者が今度はロシア革命に取り組んだ。その出発点は、ロシア革命が左翼革命であるより前に「反戦運動」だった、という視点である。
帝政時代の地下活動家のレーニンの来歴を生き生きと描き、政権のスパイが「どなりあう狂犬の集まり」とあきれた社会主義者の集団に強固な統制を持ち込んだレーニンの手腕に注目する。このとき彼の右腕となって急速に存在感を発揮したのが、グルジア人ヨシフ・ジュガシュヴィリ、すなわちスターリンであった。学者のアプローチとは一味違う読後感。(集英社インターナショナル 760円+税)