「検査なんか嫌いだ」鎌田實著
タイトルを見て、「私もだ!」と思った人も少なくないはずだ。長野県諏訪中央病院名誉院長の著者自身も、病院での検査が苦手なのだという。しかし、長年にわたる医師としての経験から、「もっと早く検診を受けていれば」という患者と数多く接してきたのも事実。そこで本書では、各種検査の特徴を解説するとともに、最小限受けておきたい検査についても紹介していく。
受けるべきか受けざるべきかでたびたび論争となるのが人間ドックだが、“異常なし”がわずか6.6%と、平均寿命世界一の日本としては異様とも思えるデータが出ている。ごく初期の病気まで見つけて治療を余儀なくさせることで、かえって体のダメージになる可能性もあるそうだ。
一方で、大腸がんを調べる便潜血反応検査や、肺がんを調べる喀痰細胞診検査などは、簡単で痛みもなく、異常を見逃しにくい検査のため、著者は受診を勧めている。そして、これらの検査以上に重要だと説くのが、血圧と体重の検査だ。実は、このふたつを軽視せずに細かく記録しておくだけで、他の検査よりも体の異常を素早く察知するのに役立つのだという。
自分に必要な検査は何か、考えるきっかけにしたい。(集英社 1000円+税)