ラジカセの登場で音楽シーンが一変
「70年代アナログ家電カタログ」松崎順一著
音楽もネットを介して提供され、スマホで聴く時代。
そんな時代だからこそなのか、ラジカセやレコードプレーヤーなど、往年のオーディオ家電の人気が再燃しているという。
本書は、日本の家電製品が一番熱かった1970年代の各メーカーの家電カタログを編んだビジュアル文庫。オーディオからホーム家電まで、ありとあらゆる往時の電化製品が一堂に会した、まるで博物館のような本だ。
数ある家電の中でも、やはりオーディオのポジションはトップクラスで、各社がしのぎを削ってさまざまな製品を送り出していた。ゆえにカタログも充実している。
部屋の中心に備えられた重厚な木工家具然としたコンポウッド。そのカタログ写真には、当時の若者の憧れが凝縮している。
やがて好きな機器を組み合わせ自分流のオーディオシステムを構成するコンポーネントステレオとなり、さらにラジカセの登場で、音楽はアウトドアに持ち出すことができるようになった。
ラジカセは日本が生んだアナログ合体家電の象徴だそうだ。そして、79年にソニーが発売したカセットポータブルプレーヤー「ウォークマン」で、音楽の楽しみ方は一変する。
一方のテレビも、新しいライフスタイルに応じてさまざまな製品が生み出されてきた。
冷蔵庫や掃除機、美容家電などをまとめたホーム家電のカタログの中には、地震を察知すると自動的に点灯し、同時にラジオも作動する防災用の警報アクセサリーなど、今でも需要がありそうな製品もある。
70年代のキッチュなデザインは見ているだけで楽しく、若い時に憧れていたあのオーディオや、家庭で使っていた懐かしい製品にも再会できるお薦め本。(青幻舎 1500円+税)