「スナック研究序説 日本の夜の公共圏」谷口功一氏
日本全国に約7万軒もある「スナック」について、真面目に論じるという、今までに見たことのない本が出た。
「人文科学系研究者ではきら星の面々を集め、夜の公共圏としてのスナックを論じてもらいました。専門家から見れば『草野球するから集まろう、と言ったらプロ球団の4番クラスが来ちゃった』くらいの豪華なメンバーです。スナック本は多数あるのですが、歴史や法規制、統計学、文学史などの視点で書いた本はありませんでしたからね」
組合も業界団体もない、スナックという不思議な商売について多角的に論じる本邦初の書である。
数多くのスナック本を手掛けた都築響一氏との座談会も収録している。
「2015年の段階では全国に約10万軒ありましたが、今年の7月では6万9000軒ほどに減っているんです。減るのは仕方ないけれど、スナックという文化をなくしたくないんです。日本が誇れる独特の商売ですからね。女性がいる店って外国ではほぼ100%売春だけど、日本は違う。そこは誇りですよ。『店の女性=即売春としか考えないなんてワビサビがない!文明的には俺たちのほうが上だから!』と声を大にして言いたい(笑い)」