「星を創る者たち」谷甲州著
建設会社員の山崎は、月面の都市間を結ぶ全長120キロの「コペルニクス隧道」の建設現場で働く。山崎と部下のクリシュナの担当は、本坑工事を先行する先進導坑の掘削だ。
ある日、掘削で出た岩石屑を搬出する圧送管システムの効率が低下し、山崎はメンテナンスに向かう。作業中、内壁の奥から異音が響いてくる。直後、轟音とともに天井部分のクラックから豪雨のように砂が噴出し、坑道がふさがれてしまう。統括主任によると、工区に閉じ込められた山崎とクリシュナの救出には10日ほどかかるという。そんな中、山崎は砂壁が液体のように移動をしているのに気づく。(「コペルニクス隧道」)
「宇宙土木」という新ジャンルに挑んだ異色SF短編集。(河出書房新社 880円+税)