「笑劇の人生」芦屋小雁著
芸歴70年を迎えた関西芸能界重鎮の自伝。
昭和8(1933)年、氏は6人兄弟の5番目として京都で誕生。実家は友禅染の工場を営んでいた。幼いころから、祖母に連れられ芝居小屋に通い、映画館にも入り浸り、役者に弟子入り志願したこともあったという。
戦後の混乱期、小学校を中退して職を転々とした末に映画の絵看板の仕事に就いた氏だが、父親の勧めで15歳のときに兄の雁之助と漫才コンビを結成。旅回りで出会った司会者が藤田まことだった。
その後、放送作家・花登筺に誘われラジオに進出、そして草創期のテレビでドラマ「番頭はんと丁稚どん」で一躍人気者になっていく。芸人仲間の思い出や、年の差婚で騒がれたプライベートまで、その軌跡から戦後上方芸能の歴史が浮かび上がる。(新潮社 720円+税)