「酒の渚」さだまさし著
さだまさしがさまざまな人との交流を通じて出合った酒と酒場の思い出をつづったエッセー12編をまとめたもの。
なかでも数多く収録されているのが京都・先斗町のスナック「鳩」と大阪のホテルプラザの「マルコポーロバー」。
山本直純(指揮者)に連れて行かれた「鳩」は、店先に立つと看板の電気が消えている。かまわず直純が呼び出すと現れたのは、いかにも京風の女将。プレスリー好きだと紹介された彼女は、いきなりすりこ木を手に持ちプレスリーを歌い始める。出されたお酒は「クルボアジェ X.O.」。
山口百恵引退の年、彼女からさだへ感謝のメッセージが届いたのが「マルコポーロバー」。感激して飲んだバカルディのカクテルを、彼は“モモエ”と命名した。
寄せては返す酒の渚に育てられたさだの66年をつづる。 (幻冬舎 1100円+税)