「牛と土 福島、3・11その後。」眞並恭介著

公開日: 更新日:

 2011年の原発事故から2カ月後、国は原発から半径20キロ圏内の警戒区域に残された家畜の殺処分を指示。しかし、許可証がなければ立ち入ることもできない区域の牧場でいまも生き続けている牛たちがいる。本書は、処分に同意できず、被ばくして出荷できない牛たちを命懸けで守ってきた牛飼いたちの戦いを追ったルポルタージュ。

 原発の北西約10キロ、福島県浪江町小丸地区で繁殖用の牛と子牛など合わせて20頭を飼育していた渡部さんは、「いま生きている牛を無駄に死なせて、これから先、牛飼いを続けていくことはできない」と避難先から通って牛の世話を続ける。渡部さんをはじめ、被ばくした牛が生きていく意味を問い続けながら、必死に現実に立ち向かった牛飼いたちの克明な記録。(集英社 640円+税)



最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が戦々恐々…有能スコアラーがひっそり中日に移籍していた!頭脳&膨大なデータが丸ごと流出

  2. 2

    【箱根駅伝】なぜ青学大は連覇を果たし、本命の国学院は負けたのか…水面下で起きていた大誤算

  3. 3

    フジテレビの内部告発者? Xに突如現れ姿を消した「バットマンビギンズ」の生々しい投稿の中身

  4. 4

    フジテレビで常態化していた女子アナ“上納”接待…プロデューサーによるホステス扱いは日常茶飯事

  5. 5

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  1. 6

    中居正広「女性トラブル」フジは編成幹部の“上納”即否定の初動ミス…新告発、株主激怒の絶体絶命

  2. 7

    佐々木朗希にメジャーを確約しない最終候補3球団の「魂胆」…フルに起用する必要はどこにもない

  3. 8

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 9

    フジテレビ「社内特別調査チーム」設置を緊急会見で説明か…“座長”は港社長という衝撃情報も

  5. 10

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭