「一身二生」太田俊明著

公開日: 更新日:

 伊能忠敬は九十九里の裕福な網元の三男として生まれた。家業の傍ら学問にも励み、特に星を見るのが好きだった彼は星の動きがそれぞれ少しずつ違っていることに気づき暦に興味を持つ。

 長じて、好縁が舞い込む。佐原の豪農で名主でもある伊能家からの婿養子の話だ。ただし、暦学を捨てることが条件。

 伊能家に入った忠敬は家業に励み、また決壊を繰り返す堤防を再構築したり、新田開発に着手するなどして家をもり立てた。そして40を過ぎたころ隠居を願い出る。江戸に出て暦学を再び学ぼうとしたのだ。縁あって幕府御用の高橋至時に師事し、蝦夷の測量を、そして日本全国の地図の作製にその後の生涯を捧げることになる。運命に従いながらも志を捨てなかった稀有な人生を歩んだ男を描いた時代小説。 (日本経済新聞出版社 1700円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ吉井監督が佐々木朗希、ローテ再編構想を語る「今となっては彼に思うところはないけども…」

  2. 2

    20代女子の「ホテル暮らし」1年間の支出報告…賃貸の家賃と比較してどうなった?

  3. 3

    【独自】フジテレビ“セクハラ横行”のヤバイ実態が社内調査で判明…「性的関係迫る」16%

  4. 4

    「フジ日枝案件」と物議、小池都知事肝いりの巨大噴水が“汚水”散布危機…大腸菌数が基準の最大27倍!

  5. 5

    “ホテル暮らし歴半年”20代女子はどう断捨離した? 家財道具はスーツケース2個分

  1. 6

    「ホテルで1人暮らし」意外なルールとトラブル 部屋に彼氏が遊びに来てもOKなの?

  2. 7

    TKO木下隆行が性加害を正式謝罪も…“ペットボトルキャラで復活”を後押ししてきたテレビ局の異常

  3. 8

    「高額療養費」負担引き上げ、患者の“治療諦め”で医療費2270億円削減…厚労省のトンデモ試算にSNS大炎上

  4. 9

    フジテレビに「女優を預けられない」大手プロが出演拒否…中居正広の女性トラブルで“蜜月関係”終わりの動き

  5. 10

    松たか子と"18歳差共演"SixTONES松村北斗の評価爆騰がり 映画『ファーストキス 1ST KISS』興収14億円予想のヒット