「一身二生」太田俊明著

公開日: 更新日:

 伊能忠敬は九十九里の裕福な網元の三男として生まれた。家業の傍ら学問にも励み、特に星を見るのが好きだった彼は星の動きがそれぞれ少しずつ違っていることに気づき暦に興味を持つ。

 長じて、好縁が舞い込む。佐原の豪農で名主でもある伊能家からの婿養子の話だ。ただし、暦学を捨てることが条件。

 伊能家に入った忠敬は家業に励み、また決壊を繰り返す堤防を再構築したり、新田開発に着手するなどして家をもり立てた。そして40を過ぎたころ隠居を願い出る。江戸に出て暦学を再び学ぼうとしたのだ。縁あって幕府御用の高橋至時に師事し、蝦夷の測量を、そして日本全国の地図の作製にその後の生涯を捧げることになる。運命に従いながらも志を捨てなかった稀有な人生を歩んだ男を描いた時代小説。 (日本経済新聞出版社 1700円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    “3悪人”呼ばわりされた佐々木恭子アナは第三者委調査で名誉回復? フジテレビ「新たな爆弾」とは

  2. 2

    フジテレビ問題でヒアリングを拒否したタレントU氏の行動…局員B氏、中居正広氏と調査報告書に頻出

  3. 3

    菊間千乃氏はフジテレビ会見の翌日、2度も番組欠席のナゼ…第三者委調査でOB・OGアナも窮地

  4. 4

    中居正広氏「性暴力認定」でも擁護するファンの倒錯…「アイドル依存」「推し活」の恐怖

  5. 5

    大河ドラマ「べらぼう」の制作現場に密着したNHK「100カメ」の舞台裏

  1. 6

    フジ調査報告書でカンニング竹山、三浦瑠麗らはメンツ丸潰れ…文春「誤報」キャンペーンに弁明は?

  2. 7

    フジテレビ“元社長候補”B氏が中居正広氏を引退、日枝久氏&港浩一氏を退任に追い込んだ皮肉

  3. 8

    下半身醜聞ラッシュの最中に山下美夢有が「不可解な国内大会欠場」 …周囲ザワつく噂の真偽

  4. 9

    フジテレビ第三者委の調査報告会見で流れガラリ! 中居正広氏は今や「変態でヤバい奴」呼ばわり

  5. 10

    トランプ関税への無策に「本気の姿勢を見せろ!」高市早苗氏が石破政権に“啖呵”を切った裏事情