「折りたたみ北京」ケン・リュウ編、中原尚哉ほか訳
米国で活躍する人気中国人作家の編者が英訳して世界に広めた現代中国SFのアンソロジー。7人の作家の13作を収録。
表題作(カク景芳=ハオ・ジンファン=著 大谷真弓訳)は、貧富の差によって折りたたみ式の3つのスペースに分かれた北京が舞台。第1スペースに割り当てられた時間は午前6時から24時間。住民が眠りについた後、地面が回転して現れる裏面の第2、第3スペースにも時間が分配され、各スペースの住人は完全に分離されている。最下層の第3スペースでごみ処理施設の作業員として働く48歳の老刀(ラオ・ダイ)は、幼い糖糖(タンタン)の教育費を得るために、危険を冒して第2スペースの住人から預かった手紙を第1スペースの女性に届ける仕事を引き受ける。
(早川書房 1900円+税)