「母の記憶に」ケン・リュウ著、古沢嘉通ほか訳

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 エミーが10歳のとき、学校から帰宅すると、玄関でパパが出迎えてくれた。パパと一緒にいたのは、家中に飾られた写真に写っているのと同じ人だった。ママだ。不治の病を患い、余命2年と宣告されたママは、いつもは宇宙船で暮らしているのだ。娘の成長を見守るため、2年の寿命を引き延ばすためだ。次にママがエミーの前に現れたのは、彼女が17歳のときで、ママはまだ25歳のままだった。(表題作)

 その他、1907年の冬、帝国陸軍から支給された機械馬の実験を兼ねて、満州の原野で巨大熊を追う中松博士が率いる探検隊の悪夢を描く「烏蘇里羆(ウスリーひぐま)」など、「紙の動物園」で注目される中国出身作家によるSF作品集。(早川書房 2200円+税)

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