「中華料理進化論」徐航明著
日本在住の中国人料理研究家による食文化論。
来日当初、著者はなぜ日本には「中華料理」と「中国料理」の2通りの看板があるのか疑問を抱いたという。やがて、中国では主食のひとつである「水餃子(ギョーザ)」が、焼き餃子としておかずになったように、中国発祥の料理が日本上陸後に日本人の口に合うようにアレンジされ、定番メニューとなったものが「中華料理」と呼ばれていることに気づく。
その中華料理の起源を振り返るとともに、鶏の唐揚げや豚の角煮、しゃぶしゃぶなど日本料理として知られているメニューが中国料理をベースに変容と定着、そして受容されていった進化のプロセスをたどるなど、中華料理の過去と現在から日本社会の変化や日本の持つ底力を分析する。
(イースト・プレス 880円+税)