「青線」八木澤高明著
全国各地の非合法な売春地帯「青線」とその跡地を歩くルポルタージュ。
公認売春は、江戸時代の吉原に始まり、戦後まで公娼制度によって合法とされてきた。赤線と呼ばれるそうした公認の場所は江戸・明治の遊郭から派生したものが多いが、青線は監視の目を欺くため飲食店を装い、その場所も数もはっきりとしない。1957年の売春防止法以降、娼婦たちが赤線から青線に流れ、青線地帯が売春の中心地になっていったという。
相模原周辺の米軍基地に駐屯する占領軍の兵士相手にできた町田の青線地帯「とんぼ」や、時効の3週間前に逮捕された殺人犯・福田和子が体を売りながら逃亡生活をつづけた各地の色街など、北海道から沖縄まで青線地帯を歩きながら、土地の歴史と今を描く。
(集英社 840円+税)