「夜汐」東山彰良著
やくざ者の蓮八と亀吉は賭場を襲って大金を手に入れ、遊女として売られた亀吉の姉、八穂を救う。亀吉は八穂と2人で一膳飯屋を始めたが、賭場の胴元が差し向けた殺し屋の夜汐に殺される。蓮八は身を隠すため京に上って新選組に入った。
沖田総司が犬を斬ったのを見た夜、黒い狼の夢を見る。追っ手に取り囲まれた蓮八が俺には会わなきゃならない人がいると叫ぶと、狼は「おまえの望みをかなえてやろう。そのかわりにおまえの魂を俺にくれ」と言った。翌日、八穂からの文が届き、亀吉が殺されたことを知る。「帰ってきて」とあるが、隊を抜ければ殺される。だが、これが人生の意味かもしれない。
殺し屋に追われながら生きる意味を探し続ける男の物語。
(KADOKAWA 1600円+税)