「千年図書館」北山猛邦著
村の湖が夏至を過ぎても凍ったままなのは古くから凶兆といわれてきた。長老たちは、村の存続のため、これまでと同じく西の果てにある島の「図書館」に村人から選んだ「司書」を捧げることを決める。選ばれたのは13歳の少年ペルだった。
冷たい水で清められ籠に押し込められたペルは、川に投げ込まれ島に漂着。助けてくれたのは、2年前に同じように司書として捧げられたヴィサスだった。図書館は見たこともないような大きな建物で、さらに地下にはその何倍もの大きさの書庫があるという。ヴィサスによると、司書の仕事は本が収められた「頑丈な箱」を地下の書庫に運び込むことだという。(表題作)
最後の一行に鮮やかなどんでん返しが待っている作品集。
(講談社 880円+税)