「おっさんたちの黄昏商店街」池永陽著
埼京線沿いの小さな町にある旧鈴蘭中央商店街は、不景気のあおりを受けシャッター街になる寸前。廃れゆく商店街を何とかしようと、喫茶店の主人である洞口修司の声掛けで、学習塾を開いている小堀裕三、区役所を退職して年金生活を謳歌している川辺茂、鍼医の羽生源次の同級生3人、そこへ昭和好きの高校生・翔太が加わり、町おこしに立ち上がった。
裕三たち推進委員会は、通りに面した開口部を木製にして昭和っぽさをウリにしようと提案するが、豆腐屋の仙市だけは首を縦に振らず、計画が進んでいなかった。
そんなある日、いつものように裕三ら推進委員が集まって飲んでいると、源次が指ではじいてビールの栓を開けてみせた。驚くみんなに「わし、実は忍者なんだ」と告白する……。
ワケありの独り身のおっさんたちが、町おこしを通じて絆を深めていく人情連作集。
(潮出版社 1600円+税)