「二度寝とは、遠くにありて想うもの」津村記久子著
芥川賞作家が日常の出来事と自らの思いをつづったエッセー集。
人間の体温のフィードバックだけで温かくしてくれる「布団」は昨今のエネルギー事情を考えると、「抜きんでてステキな人間の発明」だと絶賛。そんな布団への敬愛の思いが募り、ついに布団に話し掛けるようになってしまったと告白。
他にも、髪の毛だと信じていた額の生え際の毛が、生活の不規則な女性に生えやすい「伸びない毛」だと知り、怒りのあまり剃ってしまった話や百貨店のとある店で名物のお菓子を求めて並ぶ長い行列の静かさに興味を抱き、行列嫌いだが並んでみた体験記、そして会社員時代のたまってしまった裏紙の使い方など。
飾らない文章が、クスリとした笑いと共感を呼ぶ。
(講談社 660円+税)