オキナワの暑い夏

公開日: 更新日:

「沖縄の米軍基地を『本土』で引き取る!」 沖縄の米軍基地を「本土」で引き取る!編集委員会編

 玉城デニー沖縄県知事の全国行脚「トークキャラバン」をはじめ、今年も沖縄発の暑い夏が始まる。



 70年代以来、いつのまにか沖縄に集中されてきた米軍基地。いまや国道16号周辺をふくめ、首都圏で米軍の存在感はきわめて薄いが、代わりに沖縄は巨大な基地の島になっている。日本列島が極東の安全保障上、重要な位置にあるのは確か。しかも護憲を貫くならアメリカの傘の下にいるほかない。だったら「本土で基地を引き取れば?」という運動が大阪、福岡、新潟などの住民の間から起こっている。

 この提案を通して基地問題のみならず、日本の安全保障から憲法問題までを広く考える契機となす発想だ。本書はこの提案をめぐる識者や一般市民の声をまとめた“企画書”。運動に関わって初めて「本土」の人間がいかに沖縄を“上から目線”で見ていたかに気づいた、といった声が満載されている。

(コモンズ 900円+税)

「沖縄と核」松岡哲平著

 日米両政府がいかに否定しても沖縄に核兵器が持ち込まれていたことは明白。最初の配備は冷戦真っ盛りの50年代半ば。しかし安保反対運動に恐れをなした政府はひそかに沖縄に核兵器を集中させる。その数最大でじつに1300発という異常な数値。しかも59年には核弾頭付きのナイキ・ハーキュリーズ・ミサイルが誤射され、海に落ちていたという。隠された事実は一昨年のNHKスペシャルで明らかに。

 本書はその担当ディレクターによる迫真のドキュメント。番組放映後の日本政府の対応についての報告まで含まれている。

(新潮社 1800円+税)

「『琉球文明』の発見」海勢頭豊著

 人魚のルーツともいわれる海の生物ジュゴン。沖縄の美(ちゅ)ら海にすむジュゴンを守れ、と訴訟を起こした沖縄在住のミュージシャンは独創的な沖縄古代史の研究家でもある。

 本書は平安座島の龍宮神を祭る家に生まれた著者が数奇な半生を語った「真振MABUI」から数えて3冊目になる独創的な琉球古文明論。

 邪馬台国の女王と伝えられる卑弥呼の神話を独自の視点で読み直し、琉球文明から黄河文明が生まれたと説くユニークな史観が繰り広げられる。

(藤原書店 2200円+税)

【連載】本で読み解くNEWSの深層

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    田中圭“まさかの二股"永野芽郁の裏切りにショック?…「第2の東出昌大」で払う不倫のツケ

  2. 2

    永野芽郁“二股肉食不倫”の代償は20億円…田中圭を転がすオヤジキラーぶりにスポンサーの反応は?

  3. 3

    永野芽郁「二股不倫」報道で…《江頭で泣いてたとか怖すぎ》の声噴出 以前紹介された趣味はハーレーなどワイルド系

  4. 4

    大阪万博「遠足」堺市の小・中学校8割が辞退の衝撃…無料招待でも安全への懸念広がる

  5. 5

    「クスリのアオキ」は売上高の5割がフード…新規出店に加え地場スーパーのM&Aで規模拡大

  1. 6

    のんが“改名騒動”以来11年ぶり民放ドラマ出演の背景…因縁の前事務所俳優とは共演NG懸念も

  2. 7

    「ダウンタウンDX」終了で消えゆく松本軍団…FUJIWARA藤本敏史は炎上中で"ガヤ芸人"の今後は

  3. 8

    189cmの阿部寛「キャスター」が好発進 日本も男女高身長俳優がドラマを席巻する時代に

  4. 9

    PL学園の選手はなぜ胸に手を当て、なんとつぶやいていたのか…強力打線と強靭メンタルの秘密

  5. 10

    悪質犯罪で逮捕!大商大・冨山監督の素性と大学球界の闇…中古車販売、犬のブリーダー、一口馬主