「寂聴先生、ありがとう。」瀬尾まなほ著
作家・僧侶の瀬戸内寂聴氏の秘書を務める著者が、出会ってから8年の日々を記したエッセー集。
法話やテレビで、まるで神がかったような存在として扱われる「先生」。一緒に外出すると「そんなにすごい人なんだ」と実感するが、家の中や著者の前では本当に「ただの変な年寄りのおばあさん」でしかないという。コーヒー1杯の値段も知らないという素顔、そして「人生は恋と革命だ」と常々語り、恋愛するようハッパをかけられる日々。さらに先生に忍び寄る老いや、自らの恋愛・結婚まで、飾らずに明かす。
「この晩年にあなたという子がうちに来てくれてよかった。楽しませてくれて、笑わせてくれるから」と先生に言わせるほど、明るい年の差66歳の日常をつづる。 (朝日新聞出版 1100円+税)