「ヒューマンエラーの心理学」一川誠著
人間の知覚認知の仕組みを解説しながら、その過程で情報の処理や記憶などの誤りがなぜ起きるのかを解説したテキスト。
人間の視覚は赤外光や紫外光に関連した外界の特性を見ることはできないが、チョウは羽の紫外光の反射率から雌雄を見分ける。このように知覚のセンサーが対応していない情報は得ることができず、どの生物種も環境中のさまざまな事柄から、自分の生存にとって意味のある情報を取り出しているのだ。
こうした認知知覚の有限性をはじめとする認知を誤る理由を、人間と他の生物種の知覚認知機能を比較しながら解説。さらに合理的な判断を誤らせる直観や思い込み、記憶の錯誤など。人間の認知的な処理能力に制約や限界があることを説きながら、人間の知覚の本質を明らかにする。
(筑摩書房 860円+税)