「御社のチャラ男」絲山秋子著
ジョルジュ食品の三芳部長のことを「チャラ男」と言ったのは、窃盗で警察に逮捕された山田さんだった。三芳部長はヘッドハントされて入社し、まだ40代になったばかりなのにその日から部長になったのだが、管理職なのに働かないと思われている。うつ病で休職中の伊藤雪菜の対応も、自分がやるべきなのに部下に任せている。だが、三芳部長の方は、社員は変人の比率が大きく、愛すべき変わり者ばかりだと考えている。頭のいい人はいなくて、圧倒的な才能もない。働きすぎで、暇さえあればつらさを反すうしている、さながら純朴ぶったラクダちゃんだと思っているのだ。
部長と社員が見た「現実」を描く「会社員小説」。
(講談社 1800円+税)