「小松とうさちゃん」絲山秋子著
蓄電会社に勤務する宇佐美は、出張中もネットゲームのことが頭を離れない。40歳を過ぎて、まさかゲームにハマるとは思ってもみなかった。チームの「盟主」を務める宇佐美は、会議の合間にもログインして、仲間に指示を飛ばす。
一方、大学の非常勤講師の小松は新潟に向かう新幹線でみどりという女性と知り合う。2人とも同じ52歳で話が合い、これまで独身だった小松は、彼女への思いを募らせていく。小松の思いに気付いた飲み仲間の宇佐美は、奥手の小松を放っておけず、あれこれとアドバイスする。バツイチのみどりも小松に好意を抱いていたが、彼女には小松に打ち明けていない秘密があった。(表題作)
中年男性2人を主人公にしたこの表題作の他、2編を収録した作品集。
(河出書房新社 720円+税)