「憲法九条の『損』と『得』」太田光、中沢新一著
イギリスでは国民投票でEU離脱賛成という予想外の結果が出て混乱に陥っているが、この状態は正しいと太田は思っている。政治について日本人より理性的な判断をするイギリス人でさえ情動派が理性派を押し倒す可能性があるのだから、情動性の強い日本人が憲法改正をめぐる国民投票で冷静な判断をするかどうか疑問だと、中沢はみる。
なにより重要なのは、この憲法でやっていくことが得か損か、考えることではないのか。憲法を変えてはいけないという声もあるが、国の成り立つ条件が根本から変わるようなときには変えていかなければならないのだ。「憲法九条を世界遺産に」の著書をもつ爆笑問題の太田と思想家の中沢の対談集。
(扶桑社 1500円+税)