「水道、再び公営化!」岸本聡子著
2013年、訪米した麻生副総理は、かの地の講演であたかも既定路線であるかのように日本の水道民営化を宣言。その5年後、政府は野党の反対を押し切り、水道法を改正して水道の民営化を可能にしてしまう。
水道事業の民営化は、老朽化するインフラを維持・修繕するための魔法の処方箋のごとく語られるが、実は国民の「水への権利」を奪うものだと著者は指摘する。
このままでは気兼ねなく水を使うということさえも富裕層の特権になってしまうだろうと。欧州では水道事業の民営化が料金の高騰を招き水貧困世帯が増加。市民による再公営化への運動が起きているという。
本書は、そうした各国の水を巡る闘いをリポートしながら、危機に陥った日本の水道事業再生の方途を示す。
(集英社 820円+税)