恐怖のアフターコロナ
「コロナバブルの衝撃!」菅下清廣著
アフターコロナは大不況か、それともコロナバブルか。期待と不安が交差するコロナ後の世界。
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コロナショックと原油先物価格の大暴落で世界は大きなショックを受けた。後者は一時に比べると持ち直しが見られるとも言われるが、いずれにせよ大不況は避けられないというのが世間の相場だ。しかし逆にバブルだ、インフレだと主張する向きもある。著者は「経済の千里眼」の異名をとるという投資家。その人物が「今こそお金持ちになる10年に1度の大チャンス到来」だと言う。
まず前回大統領選から続いたトランプ相場は第1波を終了。今回のコロナ大暴落では半値押しで最も厳しいとダウ平均1万8000ドル台まで下がるだろうという。さらに2番底まで行ってから反転上昇とみるが、そこから始まる第2波はバブル大相場とみる。
理由はかつてないアメリカの金融緩和だ。コロナ収束後はアメリカ株はもう一度、大暴落する。しかしアメリカ発の大マネーバブルの発生で、コロナでは比較的動揺の少なかった日本に大量の余剰マネーが流れ込む。結果、1989年に記録した3万8915円を30年ぶりに抜く上昇波動(バブル相場)が期待されるというのだ。
かなり大胆かつ期待大の見通しだが、これにはトランプ再選が前提。くれぐれも油断大敵ということだ。
(実務教育出版 1600円+税)
「世界経済はもっと荒れるぞ、そして超インフレだ」澤上篤人著
著者は70年代から国内外のキャピタルファンドを渡り歩いてきたベテラン。
本書では「長期投資家の志」でアフターコロナを読み解く。
まず株価が大きく下げたところでジャブを打つように小刻みに買いを入れる。そのうちコロナが一段落すると反発高が始まる。余剰マネーが暴れ出す金余りバブルだ。しかも乱高下が激しい。長期投資家も買いピッチを上げる。しかし再燃したバブルは2年と持たない。必ず再燃したバブルが崩れ出す。
そうなるとコロナ対策で財政出動続きだった国家は打つ手なし。中央銀行も波にのまれてのたうちまわる。そして異常な金融緩和で甘い汁を吸ってきた企業は片っ端から倒れ、実体経済の時代になる。そこで長期投資家が応援したい生活密着型の企業の株価が暴騰するというのだ。
この見通しに乗るかどうか、著者の志への賛否を問うている。
(明日香出版社 1700円+税)
「『新型コロナ恐慌』後の世界」渡邉哲也著
新型コロナ禍は経済恐慌を招き、対応を誤った国には容赦なく衝撃が襲いかかる。そのとき、最大の打撃を受けるのはどこか。米トランプ政権の迷走はアメリカの凋落を招くという説がある。それに対して「いや、沈むのは中国だ」というのが本書だ。
リーマン・ショックを機に米FRBと英、EU、スイス、そして日本の5大中央銀行間で互いの通貨を必要なだけ融通できる無制限スワップが締結された。
しかし中国はこの枠組みの外。しかも中国国営企業の外貨建て債務のデフォルトが複数発生しており、中国企業向けの外貨建て融資にはリスクプレミアム(付加金利)がかかる始末となっている。そこにコロナ禍の拡大が拍車をかけているのだ。
著者は資金枯渇で中国IT企業は壊滅すると読む。
他方、日本は対中姿勢を改め、混乱が続く政治風土の弊害を乗り越えられれば大いなる繁栄が待っているという。自民党の勢力図まで検証し、「次」や「次の次」の首相まで論じるアフターコロナ論だ。
(徳間書店 1500円+税)