「京都に女王と呼ばれた作家がいた」花房観音著

公開日: 更新日:

 京都ミステリーで人気の作家、山村美紗は、1996年に帝国ホテルで執筆中に亡くなった。中学の教師だった美紗にミステリーを書くよう勧めたのは同僚の教師だった夫、巍であった。巍はミステリーのトリックのアドバイスをするなどして美紗を支えた。

 美紗の死の6年後、巍が美紗の肖像画展を開いたことを知って著者は驚いた。美紗は巍と別れて、同じ作家の西村京太郎をパートナーとしていたと思われていたからだ。大手マスコミは文壇タブーとして取り上げなかったが、ゴシップ誌「噂の真相」が隣同士の家に住む美紗と西村のスキャンダルを報じた。美紗はそれも武器にしようとした。

 西村は後年、「男と女の関係があったときには、あの人の弱さには気づきませんでした」とスキャンダルを肯定し、美紗をモデルにした「女流作家」を発表した。

 2人の男に支えられた「ミステリーの女王」の評伝。

(西日本出版社 1500円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が戦々恐々…有能スコアラーがひっそり中日に移籍していた!頭脳&膨大なデータが丸ごと流出

  2. 2

    【箱根駅伝】なぜ青学大は連覇を果たし、本命の国学院は負けたのか…水面下で起きていた大誤算

  3. 3

    フジテレビの内部告発者? Xに突如現れ姿を消した「バットマンビギンズ」の生々しい投稿の中身

  4. 4

    フジテレビで常態化していた女子アナ“上納”接待…プロデューサーによるホステス扱いは日常茶飯事

  5. 5

    中居正広はテレビ界でも浮いていた?「松本人志×霜月るな」のような“応援団”不在の深刻度

  1. 6

    中居正広「女性トラブル」フジは編成幹部の“上納”即否定の初動ミス…新告発、株主激怒の絶体絶命

  2. 7

    佐々木朗希にメジャーを確約しない最終候補3球団の「魂胆」…フルに起用する必要はどこにもない

  3. 8

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 9

    フジテレビ「社内特別調査チーム」設置を緊急会見で説明か…“座長”は港社長という衝撃情報も

  5. 10

    中居正広「女性トラブル」に爆笑問題・太田光が“火に油”…フジは幹部のアテンド否定も被害女性は怒り心頭