「人生100年時代 養生訓」前田昭二著
世界一の長寿国である日本。2018年には平均寿命が男性で81・25歳、女性で87・32歳となったが、これは寝たきり期間はあったのかなどの生前の健康状態については不問のデータだ。
大切なのは最期の時まで健康に過ごすことで、そのカギを握るのが生活習慣。とはいえ、世の中にはあらゆる健康情報が存在しており、どれを実践してよいか分からなくなってしまう。そこで本書では、93歳の今なお現役で仕事をしている医師が、日々実践している8つの健康習慣を紹介。健康長寿を体現している著者の“ほどほど”養生訓は、非常にシンプルで誰でも真似できるものばかりだ。
例えば、間食をしないこと。細胞を錆びつかせて動脈硬化のリスクを高める活性酸素は健康の大敵だが、食事をすれば消化吸収にエネルギーが必要となり、エネルギーを生み出す際に活性酸素が発生する。通常、その波は数時間で消えるが、間食をすると活性酸素の発生が続き、波が下がらなくなってしまう。結果、各臓器に悪影響となるわけだが、間食を抑えて食事と食事の間を5時間以上空ければ、酸化ストレスから体を守ることにつながるのだ。
他にも、たばこは吸わない、口腔衛生に注意するなど生活習慣の決まりごとがある一方、厳しい食事制限などはしておらず、細胞の老化を防ぐために肉や魚をしっかりと食べて菜食主義などもってのほか、酒なら1日2合など適量を守ってアルコールも楽しんでいる。
大切なのははやりの健康法に飛びつくことではなく、基本に忠実に、そして自分に最適な生活習慣を見つけることだと説く著者。健康づくりに行いたい7つの運動や食材の選び方など、今日から役立つ健康長寿のヒントが満載だ。
(祥伝社 1600円+税)