「妻たちのプロレス 男と女の場外バトル」ターザン山本・福留崇広著
新聞記者として選手が織りなすドラマを丹念に取材してきた福留崇広氏と、元週刊プロレス編集長のターザン山本氏がタッグを組んで、妻から見たプロレスラーの姿に肉薄した異色のプロレス本。取り上げているのは、国民的人気を誇った力道山や、ケガや病気と闘い続ける高山善廣、ミスター・デンジャーの異名を持つ葛西純、ハワイと絵を愛し続けたジャイアント馬場など6人のプロレスラーの妻。出会いから結婚生活まで、リング外で繰り広げられる男女のバトルと支え合いを描いている。
藤波辰爾の妻・伽織さんの章では、長州力との遺恨劇が興行の看板に据えられて以来、家庭の空気が変わったことや、新日本を離れニューヨークでファイトマネーを稼いだ日々、新日本からの復帰要請、長州力との思いがけない絆など、活躍の裏舞台が語られる。あとがきでは、試合後に笑顔で語らうファンの姿を見て、伽織さんが「主人はなんて素晴らしい仕事をしているんだろう」と思ったというエピソードが添えられている。
プロレスラーの妻から見えるプロレスラーの姿と、それぞれのパートナーシップの形が興味深い。
(河出書房新社 1600円+税)