「白い土地」三浦英之著
「白地(しろじ)」とは、東電福島原発事故により、避難指示解除の予定の立たない帰還困難地域をいう。
浪江町は町内に原発が立地していないのに、大量の放射性物質を含んだ雲により町全体が極度に汚染された。「原発立地自治体」ではなく「原発周辺自治体」だったため、国や東電から何一つ情報が寄せられず、原発事故への対応が大幅に遅れた。そのため、町は被ばくの危険のある地域に町民を避難させてしまった。
浪江町の馬場町長は、本来、国や県が行うべき施策を町独自で行うことに。馬場はかつては原発が喉から手が出るほど欲しかった。原発があれば貧しい町に雇用が生まれ、財政も潤うからだ。
原発汚染地の「闘う町長」の苦悩を描くルポルタージュ。
(集英社クリエイティブ 1800円+税)