「対立軸の昭和史」保阪正康著
昭和後期の日本の政治は、自由民主党と社会党による2大政党によって動いてきた。とはいえ、社会党は常に全議席の3分の1を占める程度に過ぎず、単独で政権を取ることなど誰も信じていなかった。一方、党内では右派と左派が激しく対立して、社会主義運動の実態を世間にさらした。本書は、社会党・野党勢力の対立の軌跡を振り返りながら、戦後体制を見つめ直すテキスト。
終戦2カ月半後に結成した日本社会党は、新憲法下で行われた初の選挙で第1党となり連立政権を樹立。しかし1年も経たずに内部抗争により総辞職してしまう。このつまらない意地の張り合いから始まった戦後日本政治の歪みこそが、日本社会の特徴になったと著者は指摘する。
社会党という視点から日本政治を総括するもうひとつの昭和史。
(河出書房新社 880円+税)