「『日本の伝統』の正体」藤井青銅著
「伝統」に弱い日本人は、その売り言葉をありがたく思い、すぐに信用してしまう。しかし、世の中には、比較的新しい時代に「発明」された「伝統」が、さも大昔から存在するかのように振る舞っている例が多々あるという。そんな「日本の伝統」の意外な起源や由来を解説した面白読み物。
意外にも、「初詣」も江戸時代にはなかったそうだ。明治になり鉄道会社による宣伝と営業努力によって、それまでの「年籠り」(二年参り)、「初縁日」「恵方詣り」などがミックスして生まれ、定着したもので、約130年ほどしか経っていないのだとか。
ほかにも、百貨店が広めた中元・お歳暮・七五三や、キリスト教式よりも後に始まった神前結婚式、喪服の色など。暮らしの隅々に浸透した伝統の真実が明らかに。
(新潮社 590円+税)