「それでも、陽は昇る」真山仁著
小学校教師の小野寺徹平は、阪神・淡路大震災で妻と子を失い、半ばヤケで、2011年、東日本大震災で被災した東北の小学校に応援教師として出向した。やがて神戸に戻り、阪神・淡路大震災を語り継ぐNPO法人「震災伝承プロジェクト」のボランティア活動を始める。あるとき、神戸の私立の名門高校に「特別授業」のため出向いた。
ところが、予習をしたという生徒が、「地震のタイプも被害の規模や被災地の経済力なども異なるため、神戸での経験を押しつけないほうがいいのでは」という。
――ちゃうねん、災害は数字の差とちゃうねん。
その違和感を小野寺は伝えられない。
復興のために何をすべきか、被災者としての「使命」を模索する男を描く。
(祥伝社 1500円+税)