「日本怪異伝説事典」朝里樹監修 えいとえふ著
戦国時代には、蘇鉄は異国の木として珍しがられた。織田信長は堺の妙国寺の大蘇鉄を気に入って、安土城に移植した。
ところが夜になると、「妙国寺に帰りたい」と大蘇鉄がすすり泣く。怒った信長の命令で大蘇鉄を刀で切りつけると、鮮血が噴き出した。妙国寺に返された大蘇鉄はひどく弱っていたが、日珖上人が法華経を読むと蘇った。(「信長が恐れた大蘇鉄」)
他に、石が鳴ると天気が悪くなるという、白樺高原の雨境峠にある鳴石(なるいし)を金づちで叩いたら、山鳴りがして火の雨が降り、叩いた人は死んだという「悪天候を呼ぶ雨境峠の鳴石」など、全国に伝わる怪異な話を800項目以上掲載。
(笠間書院 2000円+税)